公式はキーの公式だけ確実に覚える
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数学や物理には、山ほど公式があります。
が、皆さんは、まさか全部まる覚えしようとしていませんよね?
確かに覚えておいた方が便利な公式というのは、たくさんあります。
それに、覚えていればそれに当てはめればよいと言う公式も、たくさんあります。
たとえば、円錐の側面積の公式。
底円の半径をr 、円錐の母線をl とすると、側面の面積は、S = πrl
.
底円の半径と、円錐の母線の長さがわかれば、それを入れるだけで側面積が計算できるという、かなり「おとく」な公式です。
この公式は『高校への数学・図形のエッセンス』に載っていましたが、塾で中学生を教えるようになって、初めて知りました。
高校入試で空間図形がよく出題される高校や、もしかしたら数3の積分計算で、便利に使えるかも知れません。
でもこの公式は、果たして覚えておくべきなのでしょうか? ボクは、覚える必要がない、と思います。
こういう公式は、知らないより知っていた方がよいですが、「確か、何か便利な公式があったなあ…」と記憶しているだけでよいのです。
「何か便利な公式があったなあ…」と思えば、それは何だったか思い出す事ができます。
円錐の側面積を計算するのに、こういう公式があったような記憶があれば、問題を解く時点で、自分で導き出せばよいのです。
少ない公式を使いこなすのが大事!
たとえばこの場合ですと、なぜそのような公式ができるのか考えればよいので、物理のように文字式で計算していけばいいのです。
まず底円の半径r から、その円周の長さがわかりますね。
2πr です。
底円の円周長が、円錐の表面を展開したときのおうぎ形の弧の長さになりますので、この円錐のおうぎ形の面積S は、母線の長さをl とすると、となります。
この計算が、ふつうの扇形の計算とちょっと違うのは、扇形の面積を計算するために中心角を使っていないところです。
扇形が全円だったと考えたときの円周が2πl で、その2πr分だからこういう計算になります。
これを約分すると、S = πrl となるわけです。
がこれは数3で習うラジアン(弧度法)の基本的な考え方からすると、当たり前の話ですね。
半径が1の円の円周が2π で、それを360°の代わりに使うのがラジアンという角度の単位の「定義」なんですから。
つまり公式にはキーになる公式と、そこから導かれる公式・準公式という区別があるわけです。
ここでは、円の面積と円周の長さの公式がキーとなる公式で、そこから導かれる円錐の側面積の公式は、覚えなくとも良い公式です。
そういうわけで、公式というのは、こういう公式もあったなあ、と覚えておき、必要に応じて作るものなのです。
公式は、キーになる公式のみ覚えて、他はそこから導きだしましょう。