とにかくまず解く

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塾や予備校の講師が、受験生より頭が良いかと言えば、そうでもありません。

 

東大志望者を、中堅国立大卒の講師が教えていたりします。

 

彼らが入試問題を解けるのは、毎年同じような問題を解いて経験を積んでいるからです。

 

決して彼らが天才だからなく、問題を解いた回数が多いからです。

 

そして問題を解く手順を、しっかり覚えているからです。

 

一例を挙げてみましょう。

 

たとえばベクトルの問題でまずやらねばならないことは、何でしょうか?
それはまず基本ベクトルを決めることですね。

 

二次元なら二個の基本ベクトルで平面上の全ての点や、円や直線を表すことができますし、三次元なら三つの基本ベクトルで点や直線や平面や球を表すことができます。

 

だからまず基本ベクトルをうまく定め、a とかb とかいう記号に置き換えます。

 

これが第一選択です。

 

そして次にすることは問題からベクトル式を引き出します。

 

一次結合の形にしてパラメータを決めるだけで終わる場合もありますし、内積計算をして上手く変形して答えに導くような問題もあります。

 

とにかく第二選択としてそういう選択をします。

 

そして難しい問題を解くには、さらにいろいろな知識を使います。

 

たとえばそれはメラネウスの定理やチェバの定理だったり、相似だったり方べきの定理だったり、スクリーンだったりします。

 

そう言う風に解いていきます。

 

 

 

とにかく解く、確実に解く、スマートに解く!

でもこれは知識なんですね。

 

頭の善し悪しではなく単なる手順です。

 

単なる手順を覚えているだけで、問題を見て解法を編み出しているわけではありません。

 

3年も毎年同じ問題を解いていれば、当たり前のようにできるようになります。

 

でもそれを、受験生に伝えるのは至難の業です。

 

講師がいくら「これは大事なテクニックだよ」と口を酸っぱくしても、伝わりません。

 

「これは滅多に使わないなあ」と言っても、受験生にはなかなか伝わりません。

 

『新数学スタンダード演習』の各章の要点のまとめに載っている事項の重要性だって、山ほど問題を解かないと分かりません。

 

人は経験によって成長し、何らかの能力を身につけるのです。

 

塾や予備校の講師は生徒から質問を受けて、解けずに恥ずかしい思いをしたり、うまく説明することができなかったりという経験を積んで、そう言う風に問題が解けるようになったり、テクニックの重要性が分かったりしているのです。

 

ですから受験生が彼らのように、スラスラ問題が解けるようになるには、並大抵の努力では足りません。

 

というのも受験生は彼らに比べ、圧倒的に問題を解いた経験が少ないからです。

 

だから問題を一二度解いたくらいでは、全然足りません。

 

十回も二十回も同じ問題を解いた経験を積まなければ。

 

そしてただ解くだけではなく、解くたびにどんどん解法手順が確立していくように、努力しなければ。

 

とにかく解く確実に解く、スマートに解く…という風に、手順が洗練されてくると、最少時間で問題が解けるようになって合格が近づきます。

 

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